薄明
ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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2025年4月[8件]
2025年4月27日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
2025年4月25日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
2025年4月23日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
パプリカ
「こら、持ってきなさい」
僕の言葉に恵は分かりやすくむすっとした顔をした。もう20歳なんだからそんな子供みたいなことをするんじゃないの、そう伝えても恵は素直に頷かない。好き嫌いせずに何でも食べなさい、とまでは教育してないが、嫌いな食べ物をカゴから無断で戻すようには育てていない筈だ。少なくとも津美紀はそんな教育はしていない。ていうか津美紀の前じゃそんなことしない。
夕食の買い出しをしている主婦の方達の隙間を抜け、ついさっき立ち寄ったばかりの野菜売り場へと戻る。新鮮なぴかぴかのパプリカが並んでいるそこに恵を連れて行けば「彩りなんだから別にあってもなくても味変わんないでしょ」なんてのたまう。
「変わんないんなら入れてもいいよね。3倍くらい入れとく?」
「入れない」
嫌だなぁという顔をしながら適当なパプリカを手に取った恵は、僕が持つカゴに渋々1個入れた。さらっと手に取ったように見えて、なるべく小さそうなのを選んでいたのを僕は見逃していない。小賢しいというべきか、往生際が悪いというべきか。
僕の作った晩御飯が食べたいと言ったのは恵の方だ。それなら中に何が入っていても文句は言わせない。このスーパーに入った時から楽しい夕食は始まっているようなもの。わざわざ自分の嫌いなものを入れようとする僕に抵抗するところから、最終的に僕の皿にパプリカを全部移して食べさせてご馳走様するまでが夕食だ。
「ていうか、そんなにパプリカ嫌いでどうするの。悠仁達とご飯食べ行った時とか」
「虎杖が代わりに勝手に食ってくれるんで大丈夫です」
「………え!?」
「なんすか、大声出して」
「いや…」
驚いた。恵が僕以外の他人に嫌いなものを食べてもらっていることに。こう見えて恵は僕以外の前では嫌そうな顔はしつつも無言で食べる。津美紀の前でも一応食べる。パプリカ嫌いがかっこ悪いとは思っているのだ。その恵が、悠仁達の前では人に食べさせている。それだけ素直になれる友人が恵に出来て嬉しい反面、僕だけに見せる可愛い弱みだとも思っていたから寂しい気持ちやらも湧いてくる。もう恵のパプリカを食べてあげるのは僕だけの特権ではないらしい。
「……」
「あっ、こら。しれっと戻すんじゃない」
僕が様々な感情に動きを止めていると、これ幸いと言わんばかりに再びパプリカを元に戻そうとする。その手を静止してとぼとぼとレジに向かう。親離れしていく子供を見守る親の気持ちってやつ?なんて考えているとちょいと服の裾を引かれた。
「さっきみたいなの、五条さんにしかやりませんよ」
さっきみたいなの。パプリカを食べたくなくて(結局最後に食べるのは僕だけど)戻しに行く一連のこと。僕にしかやらない。子供の駄々っ子みたいな抵抗。
僕が何にしょぼくれているのか理解しているというよりは、可愛いこと言ってこのパプリカを買わせないつもりだろう。そういうところも小賢しいと言うべきか、あざといと言うべきか。
「…くやしい!」
「んわ、ちょっと、…!」
手のひらで転がされている気がして悔しくて、恵の鼻を一瞬摘んでから僕はカゴのパプリカをそのままに会計の列へと並んだ。
今夜の恵の皿には、3倍盛りのパプリカだ。
畳む
「こら、持ってきなさい」
僕の言葉に恵は分かりやすくむすっとした顔をした。もう20歳なんだからそんな子供みたいなことをするんじゃないの、そう伝えても恵は素直に頷かない。好き嫌いせずに何でも食べなさい、とまでは教育してないが、嫌いな食べ物をカゴから無断で戻すようには育てていない筈だ。少なくとも津美紀はそんな教育はしていない。ていうか津美紀の前じゃそんなことしない。
夕食の買い出しをしている主婦の方達の隙間を抜け、ついさっき立ち寄ったばかりの野菜売り場へと戻る。新鮮なぴかぴかのパプリカが並んでいるそこに恵を連れて行けば「彩りなんだから別にあってもなくても味変わんないでしょ」なんてのたまう。
「変わんないんなら入れてもいいよね。3倍くらい入れとく?」
「入れない」
嫌だなぁという顔をしながら適当なパプリカを手に取った恵は、僕が持つカゴに渋々1個入れた。さらっと手に取ったように見えて、なるべく小さそうなのを選んでいたのを僕は見逃していない。小賢しいというべきか、往生際が悪いというべきか。
僕の作った晩御飯が食べたいと言ったのは恵の方だ。それなら中に何が入っていても文句は言わせない。このスーパーに入った時から楽しい夕食は始まっているようなもの。わざわざ自分の嫌いなものを入れようとする僕に抵抗するところから、最終的に僕の皿にパプリカを全部移して食べさせてご馳走様するまでが夕食だ。
「ていうか、そんなにパプリカ嫌いでどうするの。悠仁達とご飯食べ行った時とか」
「虎杖が代わりに勝手に食ってくれるんで大丈夫です」
「………え!?」
「なんすか、大声出して」
「いや…」
驚いた。恵が僕以外の他人に嫌いなものを食べてもらっていることに。こう見えて恵は僕以外の前では嫌そうな顔はしつつも無言で食べる。津美紀の前でも一応食べる。パプリカ嫌いがかっこ悪いとは思っているのだ。その恵が、悠仁達の前では人に食べさせている。それだけ素直になれる友人が恵に出来て嬉しい反面、僕だけに見せる可愛い弱みだとも思っていたから寂しい気持ちやらも湧いてくる。もう恵のパプリカを食べてあげるのは僕だけの特権ではないらしい。
「……」
「あっ、こら。しれっと戻すんじゃない」
僕が様々な感情に動きを止めていると、これ幸いと言わんばかりに再びパプリカを元に戻そうとする。その手を静止してとぼとぼとレジに向かう。親離れしていく子供を見守る親の気持ちってやつ?なんて考えているとちょいと服の裾を引かれた。
「さっきみたいなの、五条さんにしかやりませんよ」
さっきみたいなの。パプリカを食べたくなくて(結局最後に食べるのは僕だけど)戻しに行く一連のこと。僕にしかやらない。子供の駄々っ子みたいな抵抗。
僕が何にしょぼくれているのか理解しているというよりは、可愛いこと言ってこのパプリカを買わせないつもりだろう。そういうところも小賢しいと言うべきか、あざといと言うべきか。
「…くやしい!」
「んわ、ちょっと、…!」
手のひらで転がされている気がして悔しくて、恵の鼻を一瞬摘んでから僕はカゴのパプリカをそのままに会計の列へと並んだ。
今夜の恵の皿には、3倍盛りのパプリカだ。
畳む
2025年4月21日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
リッチな特別コーヒー
有識者曰く、ドリップコーヒー・インスタントコーヒー・缶コーヒー、これらは全てコーヒーと名が付くが別物だという。
とくに味に拘りは無いが、コーヒーを飲む方である伏黒には一応言わんとすることは分かる。だが基本的に飲みたい時にすぐ飲めればいいので、家で飲む時はスーパーで買ってきた手頃なインスタントコーヒーをマグカップに適当に入れて、適当に沸かした湯でもって適当に飲む。たまにカフェで飲むコーヒーは確かに美味いが、わざわざ家で再現してまで飲みたいほどの拘りはなかった。
けれど伏黒と五条が暮らすこの家にはコーヒーミルとドリッパーが置いてある。通販で買ったちょっと高い良いやつ。買ったのは勿論、五条だ。
裸足をぺたぺたと鳴らしてキッチンに立つ五条の元へと向かう。下着1枚の五条は背中に昨夜の名残を乗せながらケトルでお湯を沸かしていた。お湯が用意されるまでの間にマグカップをふたつ手に取り、特売だったからとスーパーで伏黒が買ってきたインスタントコーヒーに手を伸ばすのを見て声をかけた。
「おれ、今日はあれがいいです」
ぴたりと五条の手が止まって、ゆっくりと背後の伏黒を振り返る。ちょっと下唇を尖らせているのは面倒くさいの顔だ。
「めんどいんだけど」
やっぱり。
「でもあれがいいです。リッチなコーヒー」
「ん〜…」
渋々、と言った様子で五条の手が方向を変えてキッチンの隅っこに置かれているコーヒーミルと豆に向かう。
埃を被りかけているコーヒーミル達は五条が以前買ってきたものだ。ネットかテレビか、何かに触発された五条がこの一式を揃えたのだ。どれも決して安くはないものを買い、やっぱコーヒーと言ったらこれでしょ!なんて言って形から入った。しかし形からとはいえ丁寧に作られたコーヒーは実際美味しかったし、五条も目を輝かせていた(砂糖を山ほど入れたそれは、果たしてここまで丁寧に挽いたところで味が分かるのか、と疑問に思ったが胸にしまった)。けれどその感動も最初の数回だけで、豆を挽き、ドリッパーをセットし、ゆっくりを湯を注ぐ諸々という一連の手間の前では呆気なく霞んでしまったのだった。
それから使われることはすっかり減ったが、埃が積もりそうになると伏黒が声をかけるのだ。五条が丁寧にいれてくれたコーヒーが飲みたいと。それはなんて事ない朝だったり、事務仕事をやらないといけない昼時だったり、夕食後の緩やかな時間だったり、今みたいに昨夜は随分と遅く(どちらかと言えば朝に近い)までベッドの上で過ごした後の昼に近い朝だったり。
「飲みたいんなら自分でやんなよ」
「やり方知らないんで」
「嘘つけ。てかスマホで調べられるでしょ」
五条の横に立って顔を覗くと、相変わらず下唇はつんと尖っていて言葉も余すことなく「面倒くさい」と訴えている。それでも手は止まることなく伏黒の為に動いているのだから、ついつい甘えてしまうというもの。
「誰がこんな我儘で甘えたに育てたかな〜」
そうぼやいた五条の背中の傷跡をちょん、と指先でつついた。
畳む
有識者曰く、ドリップコーヒー・インスタントコーヒー・缶コーヒー、これらは全てコーヒーと名が付くが別物だという。
とくに味に拘りは無いが、コーヒーを飲む方である伏黒には一応言わんとすることは分かる。だが基本的に飲みたい時にすぐ飲めればいいので、家で飲む時はスーパーで買ってきた手頃なインスタントコーヒーをマグカップに適当に入れて、適当に沸かした湯でもって適当に飲む。たまにカフェで飲むコーヒーは確かに美味いが、わざわざ家で再現してまで飲みたいほどの拘りはなかった。
けれど伏黒と五条が暮らすこの家にはコーヒーミルとドリッパーが置いてある。通販で買ったちょっと高い良いやつ。買ったのは勿論、五条だ。
裸足をぺたぺたと鳴らしてキッチンに立つ五条の元へと向かう。下着1枚の五条は背中に昨夜の名残を乗せながらケトルでお湯を沸かしていた。お湯が用意されるまでの間にマグカップをふたつ手に取り、特売だったからとスーパーで伏黒が買ってきたインスタントコーヒーに手を伸ばすのを見て声をかけた。
「おれ、今日はあれがいいです」
ぴたりと五条の手が止まって、ゆっくりと背後の伏黒を振り返る。ちょっと下唇を尖らせているのは面倒くさいの顔だ。
「めんどいんだけど」
やっぱり。
「でもあれがいいです。リッチなコーヒー」
「ん〜…」
渋々、と言った様子で五条の手が方向を変えてキッチンの隅っこに置かれているコーヒーミルと豆に向かう。
埃を被りかけているコーヒーミル達は五条が以前買ってきたものだ。ネットかテレビか、何かに触発された五条がこの一式を揃えたのだ。どれも決して安くはないものを買い、やっぱコーヒーと言ったらこれでしょ!なんて言って形から入った。しかし形からとはいえ丁寧に作られたコーヒーは実際美味しかったし、五条も目を輝かせていた(砂糖を山ほど入れたそれは、果たしてここまで丁寧に挽いたところで味が分かるのか、と疑問に思ったが胸にしまった)。けれどその感動も最初の数回だけで、豆を挽き、ドリッパーをセットし、ゆっくりを湯を注ぐ諸々という一連の手間の前では呆気なく霞んでしまったのだった。
それから使われることはすっかり減ったが、埃が積もりそうになると伏黒が声をかけるのだ。五条が丁寧にいれてくれたコーヒーが飲みたいと。それはなんて事ない朝だったり、事務仕事をやらないといけない昼時だったり、夕食後の緩やかな時間だったり、今みたいに昨夜は随分と遅く(どちらかと言えば朝に近い)までベッドの上で過ごした後の昼に近い朝だったり。
「飲みたいんなら自分でやんなよ」
「やり方知らないんで」
「嘘つけ。てかスマホで調べられるでしょ」
五条の横に立って顔を覗くと、相変わらず下唇はつんと尖っていて言葉も余すことなく「面倒くさい」と訴えている。それでも手は止まることなく伏黒の為に動いているのだから、ついつい甘えてしまうというもの。
「誰がこんな我儘で甘えたに育てたかな〜」
そうぼやいた五条の背中の傷跡をちょん、と指先でつついた。
畳む
2025年4月13日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
2025年4月9日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
あんま可愛くない
2025.04.09 18:16:49 編集
2025年4月3日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
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3年前に描いたやつの描き直し
ちゃんと吹き出しの下も描いてるんだけど、意外とえちちに描けたのではないだろうか
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