薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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ごじょおたおめ〜🫶
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ごじょ誕SS
 最強は忙しい。
 人手不足のこの業界、強くて何でもできてしまう人材はあちこちに駆り出される。失踪した誰だかの尻拭い、予定より大事になってしまった任務の後始末、その辺の術師に任せるには危険すぎる代物の回収に処理、その他諸々。そして担当したそれら全ての報告書作成等のその他雑務。これに教師としての仕事もあるのだから目が回るような忙しさ、なんて言葉では足りない忙しさだった。教師は自らが望んでやっていることだから大変だと思うことはあれど苦ではない。任務に関してもできる人間が限られるのだからと納得はしている。忙しい生活にだってもう慣れっこだ。しかしそれでも。
「7連勤はともかく、3徹はちょっときっついな~」
 疲れを滲ませた足取りで自宅に向かいながら零す。元々睡眠が浅くて短いとはいえ、徹夜を続けるのは流石に堪える。次の任務へ移動に移動、合間に報告書、そしてまた任務とその繰り返し。繁忙期は初夏のはずだが、人の憂鬱な気持ちはいつどこでどう溢れるか分からないもの。今年は随分と忙しい冬になった。
「…ん?」
 久しぶりに帰ってきた我が家。鍵を差し込んでみるとそこは既に開いていた。五条の部屋にやってくる人間といったら一人しかいないが、来るなんて連絡はあっただろうか。不思議に思いながら短い廊下を進み、部屋へと続く扉を開けた。
「……」
「ん」
 どうせ殆ど寝るだけだしと最低限のものしかない狭いワンルーム。テーブルとベッド。大きい家具は殆どない部屋。その部屋のベッドに伏黒はいた。何故か頭に大きなかわいい水色のリボンを付けて。両手を広げて口を少し尖らせながら。
 ぽろ、と手にしていたアイマスクが床に落ちる。呆然としている五条を気にもせず伏黒はさぁここに飛び込んで来いといわんばかりに両手を広げたままだ。寝不足で疲れ切って乾燥した目は朝日を浴びても何も感じなかったのに、夜中に自室で見た伏黒には眩しさを感じた。やっぱり少し恥ずかしいのか、頬がうっすら染まっているのも最早眩しい。
 よろよろと近付いて伏黒の腕の中に収まれば、広げられていた腕が優しく五条の背中に回された。五臓六腑に染み渡るとはこのことか、と思う。伏黒のぬくもりが疲れ切った体に染み渡る。
「なぁに、その頭の可愛いの…」
「虎杖と釘崎に付けられました」
 アンタ誕生日でしょ、と添えられやっとそこで今日が自身の誕生日だと気づく。今日が何日かなんてすっかり忘れていた。
 きっと伏黒は嫌そうな顔をしたに違いないが、なんだかんだあの二人に迫られれば最終的に折れるであろうことを五条もよく知っていた。そこに五条の誕生日という理由も加われば尚のこと。そう、伏黒は五条の誕生日プレゼントとして二人に献上されたのだ。
「僕の教え子天才すぎ」
 ぎゅうぎゅうとしがみつくように伏黒に抱きつくと、伏黒の足が五条の体に巻き付いてきた。そのまま一緒にベッドへ倒れ込む。逃がさないと言わんばかりに伏黒が足を絡めてくる時は問答無用で五条を寝かせる時だった。
「寝んの?」
「寝ます。だってひどい顔してますよ、アンタ」
「着替えどころか風呂もまだなんだけど」
「起きたらでいいでしょ」
「てか、今日帰ってくるって言ってたっけ?」
 暫く帰ってこれないことは伝えていたが、帰ってこれる日は伝えていなかった筈だ。というか徹夜の続いた頭は伝えることを忘れていた。くあ、と欠伸を一つ。
 五条の下敷きになっている伏黒がもぞもぞと身じろぎして自分の体ごと五条をベッドの端から真ん中に移動させていく。少し体を持ち上げて自分から移動してやればいいのだが、伏黒のぬくもりに瞼が重くなってきていた。積み上がった疲労と睡眠不足の体は少し動くのすら面倒がって、五条の下で頑張っている伏黒に甘えるように力が抜けていく。
「いつも誕生日になると押し掛けてきたじゃないですか。俺と津美紀が寝てようが時間なんて関係なくやってきて、誕生日を主張してきたのはそっちですよ」
 思い出しておかしくなってきたのか、ふふ、と笑って体を揺らす伏黒がゆりかごになって、ぽつぽつと話す言葉が子守歌になっていく。そんなこともあったね、と返したかったが形にはならなかった。
「だから今年もこの日には帰ってくると思ったんですよ。そしたら虎杖たちにこんなの付けられて…」
 五条の意識が眠りの中に沈む直前、話を切り上げてゆっくりと伏黒の指先が優しく髪を梳いた。
「誕生日、おめでとうございます。おやすみなさい」畳む

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