薄明
ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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確信犯と横着者
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桃の上部に軽く十字の切り込みを入れ、沸騰した湯に入れる。切り込みを入れた部分の皮が浮いてきたら取り出し氷水につける。そうしたら後は皮をそのまま剥くだけ。
つるんと引っ掛かることなく皮が剥けて、思わず小さな感動を覚える。スマホで調べたら一番上に出てきた記事を元にやってみたのだが、これがなかなか上手くいった。伏黒はちょっとした達成感と共に湯剥きした桃を一つずつ皿にのせてリビングで待つ五条の元へと向かった。
「桃剥けましたよ」
「ありがとぉ~…てなにこれ。切ってないじゃん」
「面倒くさくて」
手がべちゃべちゃになるじゃん!と文句を言うが、桃を持ってきて食べたいから剥いてと押しつけてきたのは五条だ。夕食後のデザートに一人一つ丸のままの桃とは贅沢だが、それはそれ。どんな形で用意されても文句を言われる覚えはない。伏黒は五条の文句を聞き流して自分の分の桃を手に取った。冷水で冷えた桃は瑞々しく、伏黒の指先を濡らす。確かに手は汚れるけれど、今日はもう風呂に入って寝るだけ。気にすることなく齧り付こうとした時だった。
「よし、横着者の恵を次からは絶対切り分けたくさせたげる」
「は?」
「ちゃんと見ててね」
言うなり桃を手に取った五条は大きく果肉に齧り付いた。溢れた果汁が指先を伝い、手のひらから零れて腕に細い線を描く。それがテーブルに零れる前に大きな舌でべろりと舐めあげた。伏黒の目を、真っ直ぐ射貫きながら。
じゅうと音を立てて果汁を吸い、齧り付き、舐めあげるその動きは間違いなく伏黒を意識していた。肉厚な唇が桃に触れて捲れ上がり、ちらちらと白い歯と真っ赤な舌が覗く。じゅると音を立てて伏黒の舌を吸い上げ、身体に齧り付き、舐めあげる。その時と同じ、湿度感。
「っ、性格、悪いですよ」
「何が?」
「…そこまで不満なら、自分で用意したらよかったじゃないですか」
「不満っていうか、適当でももう少し食べやすく出してくれると思ってたって感じ。ほら、最後までちゃんと見て」
種を残して全てを食べきった五条が手のひらから指先まで丁寧に果汁を舐め取っていく。その動きだって、嫌な意味を含ませている。伏黒が汚してしまった指を、見せつけるように綺麗にするのと同じ動き。
結局、五条が食べ終わるまで伏黒は一口も食べられなかった。見てと言われたとおりに馬鹿正直に見てしまって、冷水で冷やされていた筈の桃はすっかり温くなっていて、表面も色が変わり始めている。肘まで伝った果汁がテーブルに一つだけ点を描いていた。
「次はちゃんと一緒に食べられるように切ろうね」
「…最悪」
「っははは!じゃあ僕は先にお風呂入ってくるから、恵はゆっくり食べててね」
あ、恵がお風呂からあがる時にはバスタオルも一緒にベッドに持ってきて。そう告げて五条は種だけになった皿を持ってキッチンに消えていった。
桃にゆっくり齧り付けば、温いはずのそれがひんやりと心地いいくらいだった。
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2025.08.23 15:04:39
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桃の上部に軽く十字の切り込みを入れ、沸騰した湯に入れる。切り込みを入れた部分の皮が浮いてきたら取り出し氷水につける。そうしたら後は皮をそのまま剥くだけ。
つるんと引っ掛かることなく皮が剥けて、思わず小さな感動を覚える。スマホで調べたら一番上に出てきた記事を元にやってみたのだが、これがなかなか上手くいった。伏黒はちょっとした達成感と共に湯剥きした桃を一つずつ皿にのせてリビングで待つ五条の元へと向かった。
「桃剥けましたよ」
「ありがとぉ~…てなにこれ。切ってないじゃん」
「面倒くさくて」
手がべちゃべちゃになるじゃん!と文句を言うが、桃を持ってきて食べたいから剥いてと押しつけてきたのは五条だ。夕食後のデザートに一人一つ丸のままの桃とは贅沢だが、それはそれ。どんな形で用意されても文句を言われる覚えはない。伏黒は五条の文句を聞き流して自分の分の桃を手に取った。冷水で冷えた桃は瑞々しく、伏黒の指先を濡らす。確かに手は汚れるけれど、今日はもう風呂に入って寝るだけ。気にすることなく齧り付こうとした時だった。
「よし、横着者の恵を次からは絶対切り分けたくさせたげる」
「は?」
「ちゃんと見ててね」
言うなり桃を手に取った五条は大きく果肉に齧り付いた。溢れた果汁が指先を伝い、手のひらから零れて腕に細い線を描く。それがテーブルに零れる前に大きな舌でべろりと舐めあげた。伏黒の目を、真っ直ぐ射貫きながら。
じゅうと音を立てて果汁を吸い、齧り付き、舐めあげるその動きは間違いなく伏黒を意識していた。肉厚な唇が桃に触れて捲れ上がり、ちらちらと白い歯と真っ赤な舌が覗く。じゅると音を立てて伏黒の舌を吸い上げ、身体に齧り付き、舐めあげる。その時と同じ、湿度感。
「っ、性格、悪いですよ」
「何が?」
「…そこまで不満なら、自分で用意したらよかったじゃないですか」
「不満っていうか、適当でももう少し食べやすく出してくれると思ってたって感じ。ほら、最後までちゃんと見て」
種を残して全てを食べきった五条が手のひらから指先まで丁寧に果汁を舐め取っていく。その動きだって、嫌な意味を含ませている。伏黒が汚してしまった指を、見せつけるように綺麗にするのと同じ動き。
結局、五条が食べ終わるまで伏黒は一口も食べられなかった。見てと言われたとおりに馬鹿正直に見てしまって、冷水で冷やされていた筈の桃はすっかり温くなっていて、表面も色が変わり始めている。肘まで伝った果汁がテーブルに一つだけ点を描いていた。
「次はちゃんと一緒に食べられるように切ろうね」
「…最悪」
「っははは!じゃあ僕は先にお風呂入ってくるから、恵はゆっくり食べててね」
あ、恵がお風呂からあがる時にはバスタオルも一緒にベッドに持ってきて。そう告げて五条は種だけになった皿を持ってキッチンに消えていった。
桃にゆっくり齧り付けば、温いはずのそれがひんやりと心地いいくらいだった。
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