薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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優しさの空回り
柊英です


 2人だけで衣装合わせをするのには、今でも少しだけ緊張する。まだまだ色々なものの善し悪しが分からない自分たちは、それが本当に最適解なのか自信を持てないのだ。少しの緊張と不安を抱えながら試着室の中で首を捻る。壱流とのデュエットソング、2人だけというのも特別だし、テーマも独特だ。何を選べば良いのだろう。隣にいる壱流に意見を仰ごうと右側を見ればちらりとジーンズのポケットからストラップが見えた。
「壱流、それ」
「ん?…あー、これ?スマホに付けた」
 ついと壱星が指させば、ポケットから出したスマホを揺らしてみせた。可愛らしくデフォルメされた赤いペンギンが、可愛らしく揺れる。つい先日ロケで水族館に行った英知がくれた物だ。赤と青の可愛いペンギンのストラップと、同じく可愛いペンギンのトートバッグを2つ。ペンギンなんて歳でもないだろうに、なんでかと聞いたら可愛いから!の一言だった。
「じゃあ俺もスマホに付けようかな」
「壱星は大学に持ってってんだっけ?トートバッグ」
「うん。結構便利」
 ロケから帰ってきた英知は妙に上機嫌で、帰ってくるなりお土産!と言って渡してくれたのだったか。
「なんかこれくれた日の英知、機嫌がよかったよね」
「あぁ〜確かに。…まぁ、あれじゃね?」
「柊羽関連?」
「そ」
 スマホをポケットに戻した壱流が、再び用意された衣装に目を通し始めながら呆れたように言う。
「早く言ってくんねーかなぁ〜」
 続くように壱星も目を通しながらそれはそうだと頷く。詮索することでもないしこちらから聞くことでもないし、ただただ待つことしか出来ないのだが、それが少し寂しい。2人なりに考えがあってのことなのだろうけれど。
「いつまでも知らないふりしてるのも、なんかね」
「歯がゆいっつーか」
「後ろめたいというか」
 ロケ先で何があったのかは知らないけれど、上機嫌な英知の理由が何となく察しがつくだけに知らないふりをしているのはなんだか後ろめたい。壱星としては偏見はないつもりだし、壱流もそうだろう。なんだか柊羽も英知も、壱星も壱流も、優しさばかりが先回って遠回りをしている気がする。
「でもま、俺たちで決めたことだしな」
「のんびり待つしかないよね」
 向こうがまだ言わないと決めたように、壱星と壱流も向こうが言い出すまで待つと決めたのだ。
 さて、と壱流が手を打った。
「さっさと衣装決めようぜ。そんで帰りにお土産でも買ってこ」
 ペンギン?と言えば壱流は4人でペンギン揃えるかと笑った。


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