薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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目隠し

「……ちょっと」
「だ〜れだ」
 語尾にハートマークが見えるほどに優しく甘く言ってやれば、伏黒はそれに全く靡くことなく苛立った声で五条の手を抓りあげた。といっても伏黒の指先は都合よく五条の手の甲には届かずにいるのだけど。誰だって痛いのは嫌に決まっている。
 五条の手のひらでもって覆われた伏黒の顔は、本来なら目元だけを覆われる筈が顔の半分以上が隠されてしまっている。彼が小顔なのか、自分の手が大きすぎるのかは分からないけれど。
「何しょうもないことしてるんですか」
「ほら答えて?だ〜れだ」
 手のひらに伏黒の眉間に皺が寄ったのが感じられた。例え背後から手を伸ばしてようが、手のひらで顔を隠していようが、伏黒の表情なんて手に取るように分かる。意外とこの子は分かりやすいのだ。
「…五条先生」
「せいか〜い!」
「答えたんだからさっさと離してくださいよ」
「えっ、やだ」
「は?」
 恵は短気だなぁと笑えば、抓るのをやめた手が握り拳になって今度は背後にいる五条の顔へと向かってきた。当たらないと分かってやっているのだろうが、年々伏黒から飛んでくる手は容赦がなくなってきている。信頼の証、とでも言えばそれはそれで気分がいいが。
「恵は優しいなぁ、殴るふりで済ませてくれるなんて」
「っとにムカつくなあんた…」
 さて、そういえば何故こうして伏黒に子供みたいな遊びを仕掛けているのかについてだが、ただ単に暇だったのだ。伏黒は任務の報告書を仕上げないといけないから暇ではないのだが、そこは五条には関係ない。暇と退屈は簡単に人を殺すのだ。ついでに報告書の為にノートパソコンと向き合っている伏黒の目が、長いことブルーライトに晒されて少しだけお疲れな気がしたのだった。

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