薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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待ち合わせ
タワレココラボの時に書いたやつ

「止まってはないんでしょ?…うん、そっか。じゃあ待ってるから」
 待たせてすいません、という律儀な一言を最後に聞いて電話が終わる。久しぶりに2人で夕食でも食べようと予定を合わせてみれば、どうやら伏黒の乗る予定だった電車が遅延しているらしい。ぽっかりと空いた時間に、こんなことなら横着して現地集合にしなければよかったと少し後悔した。面倒でもちゃんと任務終わりに1度高専に帰って伏黒と一緒に出ればよかった。そうすれば遅れる電車を待つ時間を有意義に使えたのに。
 吐いた息が真っ白になる寒さの中で、五条はどこか時間を潰せる場所がないかと軽く周囲を見渡した。人の多い駅前、少し時間を潰す程度なら困ることはなさそうなくらい色々なものがある。コンビニ、ファストフード店、アパレルショップ等々。
(…そういえば最近忙しいって言ってたっけ)
 その中で目に付いたCDショップに、不意に伏黒がなかなか買いに行けてないと言っていたことを思い出す。つい1週間ほど前に発売された、伏黒がよく聴いているアーティストの新譜。
 電車の遅れは30分程だと言っていたから混んでいなければ買う時間くらいはあるだろう。そう思い立って五条は待ち合わせ場所である駅前の銅像から離れて近くにあるCDショップへと向かった。


 五条が買い物を終えて再び待ち合わせ場所へと戻った頃、伏黒から再度電話があった。最初の電話から30分ちょっと。どうやら着いたらしい。
「もしもーし。駅着いた?」
 五条の言葉に歩きながら話しているのか、僅かにぶれた言葉でもって「今着きました。すいません」と返事が来る。
「ん。ゆっくりでいいから。待ってるよ」
 この様子ならあと2分くらいでやってくるだろう。ちょっと早足で、寒さで鼻の頭と頬を赤くして、そうしてやってくるなり五条の顔を見て「すいません」なんて律儀に言うに違いない。
 黄色い袋を揺らしながら、五条は伏黒が謝る前にこのCDを渡してやろう、なんて考えた。謝る暇も与えずに渡されたこの袋にきっと伏黒は目を丸くして、すいませんなんて言うのも忘れて少し眉を下げてありがとうございます、なんて言うのだ。

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