薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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盛り上がった朝

「恵。めぐみー、起きてますかー」
 布団を握りしめてぼんやりとベッドに腰掛けたままの伏黒にそう声を掛ければ、たっぷり3秒ほどの間があってから首が縦に振られた。昨日は丸一日休み、今日も休み。それもあって無茶をした。たまに、本当にたまにだが、無茶をしすぎた日の伏黒は起きてから暫く使い物にならない。この場合の無茶とは如何わしい意味での無茶である。
 ベッドの上でぼんやりとしている伏黒は全身から疲労感を漂わせているが、しかしその中に昨夜の名残を纏わせている。まだ頬には昨夜の赤みが残っている気がするし、唇だってキスのしすぎでまだ色付いている。シャツの隙間から見える首元だとか鎖骨の辺りには当然キスマークだの噛み跡だの好き勝手付いているし、見えていない背中やら太腿やらにも山ほどあるし、シャツを捲り上げれば腰の辺りにはうっすらと五条が掴んだ痕があるかもしれない。兎にも角にも誰が見たって一目で昨夜は随分とお楽しみだったことが分かる有様なのだが、伏黒のこんな姿を見る度にちょっと反省する。といってもこんな無茶苦茶なセックスなんて滅多にしないから次の時にはやっぱり同じ事をするのだけど。そういうセックスになる日は伏黒も分かっていて受け入れてくれるし、乗っかってくれるから余計に。
「水飲める?」
「…のめ、ます」
「本当に?」 
 掠れてまともに出せていない声でそうは言うものの、五条が手渡したミネラルウォーターのボトルを受け取ったきり動こうとしない。持ち上げる力もないのかもしれないが。
 昨日の真夜中、伏黒がとうとう限界を迎えて意識が落ちてしまった後、くたりとした身体を抱えて風呂場に連れて行ってもシャワーを浴びせても着替えさせても起きないくらい精根尽き果てていたから無理もない話かもしれない。ベッドサイドに腰掛け、握ったままのペットボトルを取り上げる。そんな五条の姿を追う伏黒の目はやっぱりまだ少しだけ蕩けていた。
(やりすぎたのは僕だけど反則だなぁ、この目は!)
 本人に自覚はないだけに余計に響くものがあるのだが、明日はお互い仕事もあるし今日はゆっくりしないと伏黒の身が持たない。五条程ではないにしろ、職業柄伏黒もそれなりに体力はあるにしたって。
「口開けて」
 そう言うと素直に小さく口を開けて見せた伏黒はやっぱり頭がまだ回りきっていない。ペットボトルの中身を少し口に含んでから所謂口移しで飲ませてやれば一切の抵抗もなく素直に飲み下す。あまり変なことをしないようにと、心に浮かんだ出来心を宥めながら淡々とボトルの3分の1程飲ませたところで、伏黒の手の平が五条を遮る。口に入れてしまった分を飲み込んでから「もういい?」と聞けば先程よりは気持ちしっかりと頷く。
 しかしそれからもボトルの蓋を閉める五条をじっと見つめるものだから、一体なんだと首を傾げる。
「恵?」
「…きす、しないんですね」
 口移しとはいえさっきまでしてたでしょとか、そんな不思議そうな目で見ないでくれだとか、そもそも飲ませた水が口から垂れていて目に毒だとか、言いたいことは山のように浮かんだのだが五条が咄嗟に言えたのは「明日は仕事でしょ!!」だった。

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