薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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ふたごたまご

 ふんふんと機嫌よく鼻歌を歌いながらフライパンに適当に油を敷く。機嫌よく、などと言ったが実際はそこまで機嫌は良くない。何故なら朝食を食べて身支度を整えたら五条だけ仕事に行かねばならないからだ。まだ布団にくるまっている伏黒は終日オフで、その差がまた気分を盛り下げる。昨日散々いちゃついただろう、というツッコミがどこかから聞こえてきそうだがそれはそれだ。
 今朝はお手軽に目玉焼きとトースト。朝だから凝ったものは作りたくない、というのは建前で単純に気分が上がらないからだ。強いに越したことはない職業だが、強すぎるのも考えものだな、なんて。
 手に持った玉子をフライパンの縁に軽く当てる。片手で玉子を割って(伏黒にかっこいいだろうと見せたくて習得したのだが、意外と反応は薄かった)、フライパンの中に落とし込む。
「……!」
 熱された油の上でぱちぱちと音を立てたそれは、黄身が2つの双子だった。


「めぐみー!恵恵恵ー!!」
 まだ黄身も白身も固まってないままの玉子を乗せたフライパンを持って、伏黒が寝ている寝室に駆け込む。ちゃんとコンロの火は止めておいた。
ドタバタと派手な音を立てながら寝室に飛び込んできた五条に、流石に伏黒も目を覚ましたらしく眉間に皺を寄せながら「るっさい…」とぼやく。半分閉じられたまぶたを手の甲で擦りながら、それでも布団から起き上がった伏黒は五条が手に持っているものを見て眉間の溝を深くした。
「…なんでフライパン」
「双子!」
 目の前にフライパンを突き出せば、仲良く2個並んだ黄身がじっと伏黒を見つめる。伏黒と黄身が見つめ合って少しの間。
「…ふたごだ」
 寝起きでちょっとふわふわした頭で、少し嬉しそうに綻んだ顔で言った。あどけないその姿に、堪らない気持ちになる。今日はこの玉子を半分こにして食べよう。ひとつは醤油で、ひとつは塩を振って。頭が寝ていて未だに黄身と見つめ合っている伏黒を見ながら思う。
 それでも仕事に行く気分になるかと言われれば、やっぱりそれはそれ。別なのだけど。

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