薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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歯型
痛そう…(書いたの約3年前)

 朝起きて、洗面台に立って初めて自分の身体に起きた惨状に気がついた。恥じらうだとかよりもまず1番に伏黒は引いた。自分の身体に引いたのもそうだが、1番は最早可愛らしいキスマークどころではなく赤黒くなっている鬱血痕やら、どう見ても血が滲むを通り越して瘡蓋になっていたりする歯型を至る所に付けまくった五条に。痛々しいそれは上手いこと全て服の下に隠れるようにはなっているが、それにしたってやりすぎだ。多分背中にも引くほどある。
「おはよー、驚いた?」
「…引きましたね」
「愛の結晶じゃーん」
「もっとまともなものでくださいよ…」
 洗面台の前に立ち尽くしていると、少し遅れて起き出した五条がまっさらな傷1つない身体でもって現れた。余計に伏黒の身体が目立って仕方ない。いや、やりすぎだろ。口には出さないが内心で呟いた。
 大きくため息を吐き出した伏黒を後ろから抱きしめた五条は、そのまま伏黒の身体を左右に揺らしながら口を尖らせる。
「だーって恵が悠仁と一緒に秋葉原デートするから」
「子供か」
「男は何歳になっても子供なんだよ」
 あれはそもそもデートではない。そう言おうと思ったが言ったところで歯型が消える訳でもないので伏黒は口を噤んだ。第一、秋葉原と聞くと思い出したくない記憶があるので考えたくなかった。
 ゆらゆらと揺れる視界の中でまっさらな五条の身体がいやに目につく。今の自分の身体と並ぶそれに、むかつかないわけがない。
「…お?なになに、どしたの」
 どこか嬉しそうな五条の声を無視して、向き合うように身体を反転させた伏黒は眼前にある五条の鎖骨に顔を寄せた。歯を立てれば骨の硬さを感じる。それでも構わず力を込めれば痛みにか少しだけ五条の肩が震えた。ぶつりと五条の白い皮膚を突き抜ける音がした。少しだけ感じる血の味は、仕事柄どうにも慣れ親しんでしまったものだがやっぱり美味しくはない。
「熱烈だねぇ」
「あんたよりはマシだよ」
 やっと口を離せば伏黒のものに比べてまだ色も鮮やかな歯型が一つだけ出来ていた。きっと少しすれば今の伏黒のように濁った色になっていくだろう。
 ちょっとだけ気分が晴れた伏黒はもう話は終わりだと再び洗面台に向き合ってまずは顔を洗うべく蛇口を捻った。
「愛、感じちゃうなぁ」

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