薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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性欲

 性欲なんてない、なんて顔をしているこの子供にそれを教えたのは自分だ。普通の生き方を知らないこの子に、普通では無いことを教えこんだのだ。罪悪感がないと言えば嘘になるが、けれどこの瞬間だけは罪悪感より背徳感が勝る。ごめんね、なんて言ってもきっと意味なんてない。
「なに、言ってくれないと分かんないよ」
 五条の言葉に唇を引き結んだ伏黒が視線で訴えかける。弱々しく五条の人差し指を握る手は緊張か照れか酷く熱を持っていた。大人の誘い方なんて、この歳で知る必要のないことなのに知っている。知っているけれど羞恥が勝る。そのバランスが堪らなかった。
 伏黒の手から指を引き抜き、僅かに震える手を絡め取る。指と指が交差して、深く密着する。そのまま指の腹で甲を撫で、時折爪を立てると伏黒の目じりが赤く染まった。
「ね、教えて」
 伏黒の瞳が揺れた。涙の膜の張った瞳が揺れて、それから五条の視線から逃れるように伏せられる。
「…ごじょう、さん」
 伏黒が先生と呼ばない時は、教師と生徒という関係を逸脱したことをしたい時だ。生きるために必要なことを教える隙間に、知らなくてもいいことを刷り込まれる。こんなどうしようも無い大人を愛してしまったばかりに。ごめんね、愛してるよ。なんて言っても今更すぎて意味などないのだけど。

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