薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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長い夜

 昔からあまり眠らなくても平気だった。人よりずっと少ない睡眠時間でも困ることは無かったし、1日くらいは寝なくても平気だったし、眠いと思ったこともそれほど無い。だから夜はただ退屈で長いだけの、暇を潰すのに苦労する時間でしかなかった。借りてきた映画をぼんやりと眺めて台詞を右から左に流すだけの時間も何度過ごしたか分からない。今でも夜は退屈な時間であることに変わりはないのだけど、しかし最近は少しだけ悪くないと思えるようになった。
「よく寝てる」
 高専に帰る気分になれない日、面倒な日、現場に向かうのに都合がいい時やら、寝るためだけに帰る部屋がある。その部屋のベッドに伏黒がたまに寝に来るようになったのはここ1年の話だ。特に五条に連絡もなく勝手に訪れては男2人が一緒に寝ても十分なサイズのベッドで勝手に寝ている。きっと五条がここに来ない日にも伏黒は広すぎるベッドの上で丸くなって1人で眠りこけているのだろう。お互いいつここに来るかは決めていないし、伝えることが決まりでもない。だから相変わらず夜は五条にとって退屈で長いだけの時間だが、たまにその夜に伏黒が寝ていると途端に退屈な筈の夜はそうではなくなる。
 五条と違ってよく眠る伏黒は1度熟睡するとなかなか起きない。五条が伏黒の横に潜り込んでも起きないし、飽きるまで髪を梳いても起きない。それにも飽きてやっと寝て、そして五条が起きてからやっと伏黒も起き出すのだ。
 なんとなく、伏黒とただベッドに潜り込む日はいつもより眠りが深くて長く眠れるような気がする。もしかしたら伏黒の寝たがりが移るのかもしれない、なんてことも思う。
 静かな寝息を立てる伏黒の隣に潜り込み、腕を回せば生きている温もりが五条の冷えた手のひらを暖めた。

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