薄明
ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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プロポーズ
姉弟が住んでたアパートのこと取り壊されてると思ってるし、ごじょは寝に帰るだけの部屋を外に借りてると思ってる
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「恵はさあ、卒業したらどうすんの?」
「…どうって、呪術師やってると思いますけど」
不思議そうに首を傾げた伏黒に五条は「そうじゃなくて」と鼻を摘んだ。ぶ、と間抜けな声が漏れる。任務終わりだからか、五条を振り払う手は思ったより優しかった。
随分と久しぶりに伏黒の任務に同行してみれば、彼はもう五条が思ってるよりずっとしっかりと任務をこなせるようになっていた。手ずから育てたのだからそりゃあしっかりしてもらわないと困るのだが、その成長が嬉しい半面少しだけ寂しかった、と言えばいいのだろうか。五条の手から離れてもちゃんと1人でやっていけるということは、五条が伏黒を繋ぎ止めるものが1つ無くなるということだ。独り立ちしたって2人の関係が終わる訳では無いけれど、幾つかあったものが1つ終わるとなれば途端に惜しくなる。
「ここ、出てくの?今は寮生活でここに帰ってくるけど、卒業したら好きなところ行けるじゃん」
少なくとも伏黒が卒業するまでは五条の管轄だと、目に入る場所に置くために寮で暮らすことは決まっていた。丁度その時期に姉と暮らしていたアパートの取り壊しが決まったのもいい理由だったかもしれない。けれど卒業して五条の手から離れてしまえば、もう五条の目の届く場所に伏黒がいる理由はなくなる。
伏黒がここを出て行くと言ったらどうしようか、もう行き先が決まっていたらどうしようか、ちゃんと言えるかな、なんて柄にもないことを考える。
「…特に考えてないですけど、帰る家もないし適当にこの近くで部屋でも借りるんじゃないですかね」
自分のことに頓着しない伏黒らしい解答だった。帰る家がないなんて簡単に言ってのけたくせに足元に落とされた視線は少しだけ寂しそうだった。
「じゃあ、さ」
緊張を隠すように伏黒の頬を指先でつつけば、むっとした顔で五条を見た。指をはたき落とす力はやっぱり弱い。
少し前までほんの小さい子供のようだったのに、気がつけばもう卒業後の心配をしている。手元から離れる日のことを考えている。今は離れていたって好きな時に喋れて顔が見れる便利な時代ではあるけれど、それじゃ足りないものだってある。スマートフォンじゃ帰る場所になどなれるわけがなく。
「僕の家おいでよ。ほら、あの僕が寝に帰ってるマンション。何度か来たことあるでしょ?」
「……は?」
伏黒の目が文字通り丸くなって、五条の言葉をゆっくりと咀嚼していく。分かるかな、これってプロポーズのつもりなんだけど、と伏黒の言葉を待つ。あの無駄に広い部屋ならいつか津美紀が起きた時に3人で暮らすこともできるし、もし伏黒が姉と2人で暮らしたいというのならその時は五条からあの部屋をプレゼントできる。きっと悪くはないと思うんだけどな、と弱気になってしまうのは相手が伏黒だからだ。
「……お、」
耳の縁を赤くした伏黒が口を開く。
「俺じゃ家賃払えないんで…家賃払えるくらいの家が、いい、です…」
思えばあの部屋に来る度に伏黒はどこか落ち着かない様子だった。落ち着かない、というよりは家の中にいるのに人の気配が遠くなるのが苦手、とでも言えばいいのだろうか。ずっと六畳一間の小さな空間で津美紀と暮らしていたからか、存外伏黒は寂しがり屋だった。
緩む口角を隠そうともせず伏黒の髪を撫で回せば、隙間から真っ赤になった耳と同じくらい赤い頬が見えた。どうやらこれはOKということらしい。分かりにくいようで分かりやすい、伏黒の素直なところだ。
「じゃ、卒業までに丁度いい物件探そっか!」
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2023.09.07 14:27:19
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姉弟が住んでたアパートのこと取り壊されてると思ってるし、ごじょは寝に帰るだけの部屋を外に借りてると思ってる
「恵はさあ、卒業したらどうすんの?」
「…どうって、呪術師やってると思いますけど」
不思議そうに首を傾げた伏黒に五条は「そうじゃなくて」と鼻を摘んだ。ぶ、と間抜けな声が漏れる。任務終わりだからか、五条を振り払う手は思ったより優しかった。
随分と久しぶりに伏黒の任務に同行してみれば、彼はもう五条が思ってるよりずっとしっかりと任務をこなせるようになっていた。手ずから育てたのだからそりゃあしっかりしてもらわないと困るのだが、その成長が嬉しい半面少しだけ寂しかった、と言えばいいのだろうか。五条の手から離れてもちゃんと1人でやっていけるということは、五条が伏黒を繋ぎ止めるものが1つ無くなるということだ。独り立ちしたって2人の関係が終わる訳では無いけれど、幾つかあったものが1つ終わるとなれば途端に惜しくなる。
「ここ、出てくの?今は寮生活でここに帰ってくるけど、卒業したら好きなところ行けるじゃん」
少なくとも伏黒が卒業するまでは五条の管轄だと、目に入る場所に置くために寮で暮らすことは決まっていた。丁度その時期に姉と暮らしていたアパートの取り壊しが決まったのもいい理由だったかもしれない。けれど卒業して五条の手から離れてしまえば、もう五条の目の届く場所に伏黒がいる理由はなくなる。
伏黒がここを出て行くと言ったらどうしようか、もう行き先が決まっていたらどうしようか、ちゃんと言えるかな、なんて柄にもないことを考える。
「…特に考えてないですけど、帰る家もないし適当にこの近くで部屋でも借りるんじゃないですかね」
自分のことに頓着しない伏黒らしい解答だった。帰る家がないなんて簡単に言ってのけたくせに足元に落とされた視線は少しだけ寂しそうだった。
「じゃあ、さ」
緊張を隠すように伏黒の頬を指先でつつけば、むっとした顔で五条を見た。指をはたき落とす力はやっぱり弱い。
少し前までほんの小さい子供のようだったのに、気がつけばもう卒業後の心配をしている。手元から離れる日のことを考えている。今は離れていたって好きな時に喋れて顔が見れる便利な時代ではあるけれど、それじゃ足りないものだってある。スマートフォンじゃ帰る場所になどなれるわけがなく。
「僕の家おいでよ。ほら、あの僕が寝に帰ってるマンション。何度か来たことあるでしょ?」
「……は?」
伏黒の目が文字通り丸くなって、五条の言葉をゆっくりと咀嚼していく。分かるかな、これってプロポーズのつもりなんだけど、と伏黒の言葉を待つ。あの無駄に広い部屋ならいつか津美紀が起きた時に3人で暮らすこともできるし、もし伏黒が姉と2人で暮らしたいというのならその時は五条からあの部屋をプレゼントできる。きっと悪くはないと思うんだけどな、と弱気になってしまうのは相手が伏黒だからだ。
「……お、」
耳の縁を赤くした伏黒が口を開く。
「俺じゃ家賃払えないんで…家賃払えるくらいの家が、いい、です…」
思えばあの部屋に来る度に伏黒はどこか落ち着かない様子だった。落ち着かない、というよりは家の中にいるのに人の気配が遠くなるのが苦手、とでも言えばいいのだろうか。ずっと六畳一間の小さな空間で津美紀と暮らしていたからか、存外伏黒は寂しがり屋だった。
緩む口角を隠そうともせず伏黒の髪を撫で回せば、隙間から真っ赤になった耳と同じくらい赤い頬が見えた。どうやらこれはOKということらしい。分かりにくいようで分かりやすい、伏黒の素直なところだ。
「じゃ、卒業までに丁度いい物件探そっか!」
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