薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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オレンジの海
柊英です


「柊羽とさよならするなら、夏がいいなぁ」
 ふいに英知がそう零した。遠くの地平線に沈みかける夕日は英知の横顔を鮮やかに照らし、そしてその言葉を彩る。
「…どうして?」
「んー、…海って広いでしょ。どんな悲しいことも、ぜーんぶ飲み込んでくれそう」
 真っ直ぐに地平線へと向けられた目はそこに悲しみを乗せるでもなくただいつも通りにそこにあって。これが世間話なのか、それとも零れ落ちた本心なのかも分からない。しかし、そのいつかはきっと今すぐの話じゃあない。
「俺は、どんなに歳をとっても英知より先にはいかないつもりだよ」
「そんなの分かんないじゃん」
「本当の話だ」
「…どっから来るの、その自信」
 英知がようやっと柊羽の方を見て笑う。少し眉を下げて、ちょっと困ったような顔で。
「俺が先にいったら、英知はさっきみたいな顔で海を眺めるつもりだろう。妬けるじゃないか」
「…海にまで嫉妬しないでよ」
 柊羽はヤキモチ焼きだなぁ、そう言った英知の笑顔はオレンジに美しく照らされていた。

 
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