薄明

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ファンファーレと花束
柊英です


「面白いね、この話」
 そう言って台本をぱらぱらと覗いていた英知が顔を上げた。最後の結末を見ることなく残して閉じられた台本が柊羽へと返される。
 来年の春に公開される柊羽が主演を演じることとなった映画作品。その台本がつい先日渡されたのだ。初めて映画の主演に抜擢された男の苦労や努力を描く、ドキュメンタリーのようなフィクション。映画を観ながらも、映画が作られていく過程を主人公と共に追う構成となっていた。
「ラストはいいのか?」
「うん。見ちゃったらつまらないじゃない」
「観に来てくれるのか」
 柊羽の言葉に勿論と返した英知は台本で読んだシーンを瞼の裏で再生するかのように目を閉じた。英知の中の劇場でゆっくりとシーンを再生するように、立てられた英知の右手の人差し指がくるくると回る。
「柊羽が主演おめでとうって恋人から花束を受け取るシーン」
「序盤の」
「そう。きっと絵になるんだろうなぁって思って」
 夢から醒めるように瞼を持ち上げた英知が柊羽を見る。
「なんだか俺も同じことしたくなっちゃった」
「…いつでもしてくれて構わないが?」
「次に主演が決まったらね?」
「はは、それは頑張らないとだ」
 きっと柊羽ならすぐ勝ち取れるよ。そう言ってから英知は映画の時間と休みを合わせなきゃと笑った。久しぶりのデートは映画にしよう、と。

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