薄明
ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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かき氷
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「なんか意外でした」
「ん?」
「ゴテゴテしたかき氷の方が好きなのかと」
伏黒の言葉に、五条はかき氷機を回していた手を止めた。居間に響いていた氷の削れる音が止んで、代わりに窓の外の蝉の鳴き声が居間を埋める。
「あ〜…、なんかああいうのって「よし食べるぞ!」て気分の時じゃないとテンション上がんないんだよね。気合いが必要っていうか、ほいほいって食べるものじゃないっていうか…」
数日前に釘崎達に連れられて行ったかき氷のことを思い出し、身振り手振りでフルーツやらが盛られたかき氷を表現しながら言葉をつらつらと並べる。その五条の手からかき氷機を自分の方に寄せて、続きを削りながら五条の言いたいことをまとめる。
「要するに重たいと。フルーツも生クリームも盛られてましたしね」
胃もたれですか、と添えれば「まだそんな歳じゃないし!」と否定するが、それを横に流して蝉の鳴き声を掻き消しながら受け皿に削った氷を積んでいく。あの日食べたかき氷はSNSで流行っているというだけあって何でも盛り放題ではあったが、削られた氷は口に入れた途端に溶けるような軽さだった。値段が値段なだけあって、羽のように軽くて雪のように溶けるの謳い文句は間違いではなかった。
それに比べて、今五条の家の居間で作っているのはホームセンターで売られていた手回し式のかき氷機にコンビニで買ってきた氷による粒も大きければ軽くもない、有り体に言ってしまえば縁日にあるようなオーソドックスなかき氷。シロップもホームセンターでかき氷機の隣に並べられていたのを適当に見繕っただけ。当然上にのせるフルーツなんてものもない。
「てか僕が学生の頃はあんなかき氷なかったしさ、やっぱかき氷つったらザクザクしてて原色みたいな色したあまーいシロップが沢山かかってるこれなわけよ」
丁度皿が埋まったところで五条がシロップ片手に綺麗な山になったかき氷を取り出す。粒の大きいそれは窓からの日差しを反射してキラキラと光っていた。
メロン味の真緑のシロップを山の半分にかけ、スプーンで1口食べた五条は「これこれ!」と満足気に頷いた。それから残りの山半分にブルーハワイのシロップをかけると伏黒の口に無遠慮に突っ込む。
「恵もこの方が夏感じない?昔よく食べたじゃん、こうやって僕がかき氷機買ってきて扇風機しかない部屋で3人で削ってさ」
ふわふわと一瞬で溶けもしなければ、ザクザクとした食感すらあるそれを軽く噛みながら思い出す。いつ壊れてもおかしくない扇風機しかない狭い部屋で、津美紀も入れて3人で同じことをした日のことを。窓を全開にして扇風機を回しても蒸し暑い部屋で、「シロップ全かけはロマンでしょ!」なんて言って恵の皿にだけシロップを全種類かけて笑っていたのだったか。綺麗な五条のブルーハワイの皿と、津美紀のイチゴの皿を指さして。
「…そういえばシロップ全かけはロマン、でしたっけ?」
「えっ…あー!」
五条が止めるより早く、メロンとブルーハワイが半々にかかったかき氷にイチゴのシロップをかける。そして緑と青と赤が混ざってお世辞にも綺麗とは言えない色になったそれを五条の方に差し出した。
「確かに夏って感じですね」
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2023.09.08 23:08:54
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「なんか意外でした」
「ん?」
「ゴテゴテしたかき氷の方が好きなのかと」
伏黒の言葉に、五条はかき氷機を回していた手を止めた。居間に響いていた氷の削れる音が止んで、代わりに窓の外の蝉の鳴き声が居間を埋める。
「あ〜…、なんかああいうのって「よし食べるぞ!」て気分の時じゃないとテンション上がんないんだよね。気合いが必要っていうか、ほいほいって食べるものじゃないっていうか…」
数日前に釘崎達に連れられて行ったかき氷のことを思い出し、身振り手振りでフルーツやらが盛られたかき氷を表現しながら言葉をつらつらと並べる。その五条の手からかき氷機を自分の方に寄せて、続きを削りながら五条の言いたいことをまとめる。
「要するに重たいと。フルーツも生クリームも盛られてましたしね」
胃もたれですか、と添えれば「まだそんな歳じゃないし!」と否定するが、それを横に流して蝉の鳴き声を掻き消しながら受け皿に削った氷を積んでいく。あの日食べたかき氷はSNSで流行っているというだけあって何でも盛り放題ではあったが、削られた氷は口に入れた途端に溶けるような軽さだった。値段が値段なだけあって、羽のように軽くて雪のように溶けるの謳い文句は間違いではなかった。
それに比べて、今五条の家の居間で作っているのはホームセンターで売られていた手回し式のかき氷機にコンビニで買ってきた氷による粒も大きければ軽くもない、有り体に言ってしまえば縁日にあるようなオーソドックスなかき氷。シロップもホームセンターでかき氷機の隣に並べられていたのを適当に見繕っただけ。当然上にのせるフルーツなんてものもない。
「てか僕が学生の頃はあんなかき氷なかったしさ、やっぱかき氷つったらザクザクしてて原色みたいな色したあまーいシロップが沢山かかってるこれなわけよ」
丁度皿が埋まったところで五条がシロップ片手に綺麗な山になったかき氷を取り出す。粒の大きいそれは窓からの日差しを反射してキラキラと光っていた。
メロン味の真緑のシロップを山の半分にかけ、スプーンで1口食べた五条は「これこれ!」と満足気に頷いた。それから残りの山半分にブルーハワイのシロップをかけると伏黒の口に無遠慮に突っ込む。
「恵もこの方が夏感じない?昔よく食べたじゃん、こうやって僕がかき氷機買ってきて扇風機しかない部屋で3人で削ってさ」
ふわふわと一瞬で溶けもしなければ、ザクザクとした食感すらあるそれを軽く噛みながら思い出す。いつ壊れてもおかしくない扇風機しかない狭い部屋で、津美紀も入れて3人で同じことをした日のことを。窓を全開にして扇風機を回しても蒸し暑い部屋で、「シロップ全かけはロマンでしょ!」なんて言って恵の皿にだけシロップを全種類かけて笑っていたのだったか。綺麗な五条のブルーハワイの皿と、津美紀のイチゴの皿を指さして。
「…そういえばシロップ全かけはロマン、でしたっけ?」
「えっ…あー!」
五条が止めるより早く、メロンとブルーハワイが半々にかかったかき氷にイチゴのシロップをかける。そして緑と青と赤が混ざってお世辞にも綺麗とは言えない色になったそれを五条の方に差し出した。
「確かに夏って感じですね」
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