薄明
ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
非公式二次創作ブログサイト
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2025年5月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
転生パロでごじょがあのね実はね…てやけに真剣な顔でおめぐに言ってくるから何だと思ったら「前世のさぁ真っ二つになった時あったじゃん?…あれ、宿儺に無下限の突破手段はもうないと思ってちょっと油断したからなんだよね…よっしゃ行けた!て思っちゃってェ…」て言い出すから「あんた大馬鹿ですか!?ありえない!!」てボコボコに叱られる可能性が…!?!?
「ほんっとありえない!そんなんで死んでたら世話ないですよ!」「ダサすぎるし最悪すぎるから今まで言えなくって😭」「墓まで持ってけ!!!」「あの時は墓まで持って行ったもん…」「言う前に死んだんでしょうが!今回も墓まで持ってけ!」「😭」の可能性あるかも!?
「ほんっとありえない!そんなんで死んでたら世話ないですよ!」「ダサすぎるし最悪すぎるから今まで言えなくって😭」「墓まで持ってけ!!!」「あの時は墓まで持って行ったもん…」「言う前に死んだんでしょうが!今回も墓まで持ってけ!」「😭」の可能性あるかも!?
反省の弁は要らない
話に出てくる一回目はこれ▶彼シャツトレンカ
事後、恵は怒ると布団の中にまんまるに篭ってカタツムリになる。今日手に入れた豆知識。
僕は目の前にある大きなカタツムリを前に、小さく溜息を吐き出した。恵に呆れた溜息ではなくて、この殻を剥がして顔が見たいんだけどな、という溜息だ。
「恵ぃ、そろそろ中暑くない?」
「次やったら殺す」
「物騒なこと言わないの」
ちょんちょんと布団をつついて声をかけるも、さっきから恵の返事は「次やったら殺す」の一択だ。布団の中は暑いだろうに、それでも中に籠ったままこれしか言わないのだが原因は僕にあるばかりに下手に強く言い返せなかった。
恵が事後の甘い空気もなくこれだけ怒って拗ねている理由。ざっくり言えばセックスで恵が嫌がることをしたからだ。何をしたかあけすけに包み隠さず言ってしまえば、恵に潮を吹かせた。実は恵に潮を吹かせたのはこれが2度目なのだが、前にトレンカを履いたままの恵にストッキング素材を使って擬似ローションガーゼのようなことをした際にしたのが1回目。その時も恵は未知の快感に嫌がり、初めて目にした潮に漏らしたのかと真っ青になって一波乱あったりしたのだが(その後、仕切り直してセックスを再開することになったのだが、1度シャワーを浴びると言って恵は1時間ベッドに戻ってこなかった。思えばあの時から相当怒っていたのだろう)、あれから時間もだいぶ経ったし快楽で頭もふわふわしている終盤なら意外といけるだろうという僕の読みが外れた。
気持ちよさそうに果てて、そんな恵につられるようにして僕も果て、眠そうな恵の為にシャワーは起きてからにしようと一先ず水を取りに行ったら、互いの体液やら何やらでぐちゃぐちゃのバスタオルがベッドの下に蹴落とされ、代わりに隅に寄せられていた布団を頭から被った布団つむりの恵が爆誕。気持ちよさで頭がぽやんぽやんになっていても嫌なものはしっかり覚えていたのだ。
「あれっておしっこじゃないしさ、気持ちいいから出るものだし、僕は気にしないよ」
「あんたが気にする気にしないじゃなくて俺が嫌なんですよ」
くぐもった声が久しぶりに「次やったら殺す」以外の鳴き声を発した。もしかして対話の余地が生まれたのかもしれない。
「やっぱ恥ずかしい?でも見てるの僕だけだし」
「だからあんたが見てようが見てなかろうがどうでもいいんですよ。俺が恥ずかしくてマジで嫌だっつう話なんですけど。分かってます?」
今舌打ちが飛んだな。対話の余地があるかと思ったけど僕の勘違いだったらしい。言葉に棘が多い。
うーん、と唸ってこの子をどうするか考える。早いことここから出てきて顔を見せてほしいし、ついでに次の機会もほしい。好きな子のえろい姿なんていくらあってもいいし、見れるんなら見たいに決まってる。今回の恵は正直かなりきたし。
「あれが癖になったらどうするんですか。毎回あんなの出すようになったら困る」
「…すごくえろいな!?」
「やっぱ次やったら殺す」
恵の言葉に思わず想像して考えるより先にえろい!と声が出てしまった。所謂ハメ潮ってやつ?実際には見たことないけど恵で想像したらすごくえろい。見たすぎる。そんな僕の心の声が飛び出してしまったのは不可抗力というやつだ。さっきも思ったけど好きな子のえろい姿はいくらあってもいいに決まってる。
「ごめんて、でも正直そんな恵はすごく見たい。えろすぎる」
「殺す」
「次こそ事前にお願いするし」
「絶対嫌です」
「ベッドもっとべちゃべちゃになっても平気なように防水シーツ買うし」
「しつこい」
「絶対気持ちよくするし!」
「だからそういう話じゃないつってんだろ!」
がばりと布団つむりが起き上がり、真っ赤な顔をした恵が叫んだ。暑いからか、それ以外か、首まで真っ赤な恵は僕の頭をすこんと叩いた。グーじゃなかったのは温情か。
「っき、気持ちよくするとかしないとかじゃなくて、ベッドぐちゃぐちゃになるのが嫌とかじゃなくて、俺が恥ずかしいから嫌だつってんでしょうが!」
「気持ちいいから出るもんだから恥ずかしくないって!」
「知るか!俺は恥ずかしいんですよ!日本語分かります!?」
「分かるよ!日本人だもん!」
恵にぺし、ぺしと頭を叩かれながらどっちも譲らない押し問答を繰り返していたが、やがて恵の方が折れた。折れたというよりは、この恥ずかしいから嫌!えろいから見たい!の押し問答のあほらしさに疲れたと言うべきか。未だ赤いままの顔で恵は舌打ちをしてから僕の鼻を摘んだ。痛い。軽くとかじゃなくて鼻折れそうなくらい本気で掴んできてる。
「…次やる時は絶対事前に言うこと。絶対はいとは言いませんけど、とりあえず俺の承諾を取ってからにしてください。絶対はいとは言いませんけど」
「……はい」
あっ、たぶんこれ、本気で頼み込んだらやってくれるやつだ。僕はそう気付いたが真面目な顔を作って真剣に頷いた。恵は押しに弱い。本人がそれをどこまで自覚しているかは知らないが、とにかく僕の粘り勝ちだ。でも掴まれてる鼻が取れそうだから、次にお願いするのは暫く間を開けてからにしよう。3ヶ月、じゃ早い。半年くらいならギリかな。
「…はぁ…こんな事に時間使ってあほらしい…俺もう寝ます。あんたは床で寝てください」
「えっ、」
「落ちてるタオル片付けといてくださいね。布団に入ってきたら殴ります。おやすみなさい」
「えっ…」
僕の粘り勝ち、の筈だけど恵の機嫌は直らなかったらしい。さっさと布団の中に戻っていった恵はそれきり僕の方を振り返ることなく眠り始めた。疲れていたから寝るまで5秒。
あっという間に放置された僕は、そんなぁ、と呟いてぐちゃぐちゃのバスタオルを掴んでベッドルームを抜け出した。
畳む
話に出てくる一回目はこれ▶彼シャツトレンカ
事後、恵は怒ると布団の中にまんまるに篭ってカタツムリになる。今日手に入れた豆知識。
僕は目の前にある大きなカタツムリを前に、小さく溜息を吐き出した。恵に呆れた溜息ではなくて、この殻を剥がして顔が見たいんだけどな、という溜息だ。
「恵ぃ、そろそろ中暑くない?」
「次やったら殺す」
「物騒なこと言わないの」
ちょんちょんと布団をつついて声をかけるも、さっきから恵の返事は「次やったら殺す」の一択だ。布団の中は暑いだろうに、それでも中に籠ったままこれしか言わないのだが原因は僕にあるばかりに下手に強く言い返せなかった。
恵が事後の甘い空気もなくこれだけ怒って拗ねている理由。ざっくり言えばセックスで恵が嫌がることをしたからだ。何をしたかあけすけに包み隠さず言ってしまえば、恵に潮を吹かせた。実は恵に潮を吹かせたのはこれが2度目なのだが、前にトレンカを履いたままの恵にストッキング素材を使って擬似ローションガーゼのようなことをした際にしたのが1回目。その時も恵は未知の快感に嫌がり、初めて目にした潮に漏らしたのかと真っ青になって一波乱あったりしたのだが(その後、仕切り直してセックスを再開することになったのだが、1度シャワーを浴びると言って恵は1時間ベッドに戻ってこなかった。思えばあの時から相当怒っていたのだろう)、あれから時間もだいぶ経ったし快楽で頭もふわふわしている終盤なら意外といけるだろうという僕の読みが外れた。
気持ちよさそうに果てて、そんな恵につられるようにして僕も果て、眠そうな恵の為にシャワーは起きてからにしようと一先ず水を取りに行ったら、互いの体液やら何やらでぐちゃぐちゃのバスタオルがベッドの下に蹴落とされ、代わりに隅に寄せられていた布団を頭から被った布団つむりの恵が爆誕。気持ちよさで頭がぽやんぽやんになっていても嫌なものはしっかり覚えていたのだ。
「あれっておしっこじゃないしさ、気持ちいいから出るものだし、僕は気にしないよ」
「あんたが気にする気にしないじゃなくて俺が嫌なんですよ」
くぐもった声が久しぶりに「次やったら殺す」以外の鳴き声を発した。もしかして対話の余地が生まれたのかもしれない。
「やっぱ恥ずかしい?でも見てるの僕だけだし」
「だからあんたが見てようが見てなかろうがどうでもいいんですよ。俺が恥ずかしくてマジで嫌だっつう話なんですけど。分かってます?」
今舌打ちが飛んだな。対話の余地があるかと思ったけど僕の勘違いだったらしい。言葉に棘が多い。
うーん、と唸ってこの子をどうするか考える。早いことここから出てきて顔を見せてほしいし、ついでに次の機会もほしい。好きな子のえろい姿なんていくらあってもいいし、見れるんなら見たいに決まってる。今回の恵は正直かなりきたし。
「あれが癖になったらどうするんですか。毎回あんなの出すようになったら困る」
「…すごくえろいな!?」
「やっぱ次やったら殺す」
恵の言葉に思わず想像して考えるより先にえろい!と声が出てしまった。所謂ハメ潮ってやつ?実際には見たことないけど恵で想像したらすごくえろい。見たすぎる。そんな僕の心の声が飛び出してしまったのは不可抗力というやつだ。さっきも思ったけど好きな子のえろい姿はいくらあってもいいに決まってる。
「ごめんて、でも正直そんな恵はすごく見たい。えろすぎる」
「殺す」
「次こそ事前にお願いするし」
「絶対嫌です」
「ベッドもっとべちゃべちゃになっても平気なように防水シーツ買うし」
「しつこい」
「絶対気持ちよくするし!」
「だからそういう話じゃないつってんだろ!」
がばりと布団つむりが起き上がり、真っ赤な顔をした恵が叫んだ。暑いからか、それ以外か、首まで真っ赤な恵は僕の頭をすこんと叩いた。グーじゃなかったのは温情か。
「っき、気持ちよくするとかしないとかじゃなくて、ベッドぐちゃぐちゃになるのが嫌とかじゃなくて、俺が恥ずかしいから嫌だつってんでしょうが!」
「気持ちいいから出るもんだから恥ずかしくないって!」
「知るか!俺は恥ずかしいんですよ!日本語分かります!?」
「分かるよ!日本人だもん!」
恵にぺし、ぺしと頭を叩かれながらどっちも譲らない押し問答を繰り返していたが、やがて恵の方が折れた。折れたというよりは、この恥ずかしいから嫌!えろいから見たい!の押し問答のあほらしさに疲れたと言うべきか。未だ赤いままの顔で恵は舌打ちをしてから僕の鼻を摘んだ。痛い。軽くとかじゃなくて鼻折れそうなくらい本気で掴んできてる。
「…次やる時は絶対事前に言うこと。絶対はいとは言いませんけど、とりあえず俺の承諾を取ってからにしてください。絶対はいとは言いませんけど」
「……はい」
あっ、たぶんこれ、本気で頼み込んだらやってくれるやつだ。僕はそう気付いたが真面目な顔を作って真剣に頷いた。恵は押しに弱い。本人がそれをどこまで自覚しているかは知らないが、とにかく僕の粘り勝ちだ。でも掴まれてる鼻が取れそうだから、次にお願いするのは暫く間を開けてからにしよう。3ヶ月、じゃ早い。半年くらいならギリかな。
「…はぁ…こんな事に時間使ってあほらしい…俺もう寝ます。あんたは床で寝てください」
「えっ、」
「落ちてるタオル片付けといてくださいね。布団に入ってきたら殴ります。おやすみなさい」
「えっ…」
僕の粘り勝ち、の筈だけど恵の機嫌は直らなかったらしい。さっさと布団の中に戻っていった恵はそれきり僕の方を振り返ることなく眠り始めた。疲れていたから寝るまで5秒。
あっという間に放置された僕は、そんなぁ、と呟いてぐちゃぐちゃのバスタオルを掴んでベッドルームを抜け出した。
畳む
2025年4月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
パプリカ
「こら、持ってきなさい」
僕の言葉に恵は分かりやすくむすっとした顔をした。もう20歳なんだからそんな子供みたいなことをするんじゃないの、そう伝えても恵は素直に頷かない。好き嫌いせずに何でも食べなさい、とまでは教育してないが、嫌いな食べ物をカゴから無断で戻すようには育てていない筈だ。少なくとも津美紀はそんな教育はしていない。ていうか津美紀の前じゃそんなことしない。
夕食の買い出しをしている主婦の方達の隙間を抜け、ついさっき立ち寄ったばかりの野菜売り場へと戻る。新鮮なぴかぴかのパプリカが並んでいるそこに恵を連れて行けば「彩りなんだから別にあってもなくても味変わんないでしょ」なんてのたまう。
「変わんないんなら入れてもいいよね。3倍くらい入れとく?」
「入れない」
嫌だなぁという顔をしながら適当なパプリカを手に取った恵は、僕が持つカゴに渋々1個入れた。さらっと手に取ったように見えて、なるべく小さそうなのを選んでいたのを僕は見逃していない。小賢しいというべきか、往生際が悪いというべきか。
僕の作った晩御飯が食べたいと言ったのは恵の方だ。それなら中に何が入っていても文句は言わせない。このスーパーに入った時から楽しい夕食は始まっているようなもの。わざわざ自分の嫌いなものを入れようとする僕に抵抗するところから、最終的に僕の皿にパプリカを全部移して食べさせてご馳走様するまでが夕食だ。
「ていうか、そんなにパプリカ嫌いでどうするの。悠仁達とご飯食べ行った時とか」
「虎杖が代わりに勝手に食ってくれるんで大丈夫です」
「………え!?」
「なんすか、大声出して」
「いや…」
驚いた。恵が僕以外の他人に嫌いなものを食べてもらっていることに。こう見えて恵は僕以外の前では嫌そうな顔はしつつも無言で食べる。津美紀の前でも一応食べる。パプリカ嫌いがかっこ悪いとは思っているのだ。その恵が、悠仁達の前では人に食べさせている。それだけ素直になれる友人が恵に出来て嬉しい反面、僕だけに見せる可愛い弱みだとも思っていたから寂しい気持ちやらも湧いてくる。もう恵のパプリカを食べてあげるのは僕だけの特権ではないらしい。
「……」
「あっ、こら。しれっと戻すんじゃない」
僕が様々な感情に動きを止めていると、これ幸いと言わんばかりに再びパプリカを元に戻そうとする。その手を静止してとぼとぼとレジに向かう。親離れしていく子供を見守る親の気持ちってやつ?なんて考えているとちょいと服の裾を引かれた。
「さっきみたいなの、五条さんにしかやりませんよ」
さっきみたいなの。パプリカを食べたくなくて(結局最後に食べるのは僕だけど)戻しに行く一連のこと。僕にしかやらない。子供の駄々っ子みたいな抵抗。
僕が何にしょぼくれているのか理解しているというよりは、可愛いこと言ってこのパプリカを買わせないつもりだろう。そういうところも小賢しいと言うべきか、あざといと言うべきか。
「…くやしい!」
「んわ、ちょっと、…!」
手のひらで転がされている気がして悔しくて、恵の鼻を一瞬摘んでから僕はカゴのパプリカをそのままに会計の列へと並んだ。
今夜の恵の皿には、3倍盛りのパプリカだ。
畳む
「こら、持ってきなさい」
僕の言葉に恵は分かりやすくむすっとした顔をした。もう20歳なんだからそんな子供みたいなことをするんじゃないの、そう伝えても恵は素直に頷かない。好き嫌いせずに何でも食べなさい、とまでは教育してないが、嫌いな食べ物をカゴから無断で戻すようには育てていない筈だ。少なくとも津美紀はそんな教育はしていない。ていうか津美紀の前じゃそんなことしない。
夕食の買い出しをしている主婦の方達の隙間を抜け、ついさっき立ち寄ったばかりの野菜売り場へと戻る。新鮮なぴかぴかのパプリカが並んでいるそこに恵を連れて行けば「彩りなんだから別にあってもなくても味変わんないでしょ」なんてのたまう。
「変わんないんなら入れてもいいよね。3倍くらい入れとく?」
「入れない」
嫌だなぁという顔をしながら適当なパプリカを手に取った恵は、僕が持つカゴに渋々1個入れた。さらっと手に取ったように見えて、なるべく小さそうなのを選んでいたのを僕は見逃していない。小賢しいというべきか、往生際が悪いというべきか。
僕の作った晩御飯が食べたいと言ったのは恵の方だ。それなら中に何が入っていても文句は言わせない。このスーパーに入った時から楽しい夕食は始まっているようなもの。わざわざ自分の嫌いなものを入れようとする僕に抵抗するところから、最終的に僕の皿にパプリカを全部移して食べさせてご馳走様するまでが夕食だ。
「ていうか、そんなにパプリカ嫌いでどうするの。悠仁達とご飯食べ行った時とか」
「虎杖が代わりに勝手に食ってくれるんで大丈夫です」
「………え!?」
「なんすか、大声出して」
「いや…」
驚いた。恵が僕以外の他人に嫌いなものを食べてもらっていることに。こう見えて恵は僕以外の前では嫌そうな顔はしつつも無言で食べる。津美紀の前でも一応食べる。パプリカ嫌いがかっこ悪いとは思っているのだ。その恵が、悠仁達の前では人に食べさせている。それだけ素直になれる友人が恵に出来て嬉しい反面、僕だけに見せる可愛い弱みだとも思っていたから寂しい気持ちやらも湧いてくる。もう恵のパプリカを食べてあげるのは僕だけの特権ではないらしい。
「……」
「あっ、こら。しれっと戻すんじゃない」
僕が様々な感情に動きを止めていると、これ幸いと言わんばかりに再びパプリカを元に戻そうとする。その手を静止してとぼとぼとレジに向かう。親離れしていく子供を見守る親の気持ちってやつ?なんて考えているとちょいと服の裾を引かれた。
「さっきみたいなの、五条さんにしかやりませんよ」
さっきみたいなの。パプリカを食べたくなくて(結局最後に食べるのは僕だけど)戻しに行く一連のこと。僕にしかやらない。子供の駄々っ子みたいな抵抗。
僕が何にしょぼくれているのか理解しているというよりは、可愛いこと言ってこのパプリカを買わせないつもりだろう。そういうところも小賢しいと言うべきか、あざといと言うべきか。
「…くやしい!」
「んわ、ちょっと、…!」
手のひらで転がされている気がして悔しくて、恵の鼻を一瞬摘んでから僕はカゴのパプリカをそのままに会計の列へと並んだ。
今夜の恵の皿には、3倍盛りのパプリカだ。
畳む
リッチな特別コーヒー
有識者曰く、ドリップコーヒー・インスタントコーヒー・缶コーヒー、これらは全てコーヒーと名が付くが別物だという。
とくに味に拘りは無いが、コーヒーを飲む方である伏黒には一応言わんとすることは分かる。だが基本的に飲みたい時にすぐ飲めればいいので、家で飲む時はスーパーで買ってきた手頃なインスタントコーヒーをマグカップに適当に入れて、適当に沸かした湯でもって適当に飲む。たまにカフェで飲むコーヒーは確かに美味いが、わざわざ家で再現してまで飲みたいほどの拘りはなかった。
けれど伏黒と五条が暮らすこの家にはコーヒーミルとドリッパーが置いてある。通販で買ったちょっと高い良いやつ。買ったのは勿論、五条だ。
裸足をぺたぺたと鳴らしてキッチンに立つ五条の元へと向かう。下着1枚の五条は背中に昨夜の名残を乗せながらケトルでお湯を沸かしていた。お湯が用意されるまでの間にマグカップをふたつ手に取り、特売だったからとスーパーで伏黒が買ってきたインスタントコーヒーに手を伸ばすのを見て声をかけた。
「おれ、今日はあれがいいです」
ぴたりと五条の手が止まって、ゆっくりと背後の伏黒を振り返る。ちょっと下唇を尖らせているのは面倒くさいの顔だ。
「めんどいんだけど」
やっぱり。
「でもあれがいいです。リッチなコーヒー」
「ん〜…」
渋々、と言った様子で五条の手が方向を変えてキッチンの隅っこに置かれているコーヒーミルと豆に向かう。
埃を被りかけているコーヒーミル達は五条が以前買ってきたものだ。ネットかテレビか、何かに触発された五条がこの一式を揃えたのだ。どれも決して安くはないものを買い、やっぱコーヒーと言ったらこれでしょ!なんて言って形から入った。しかし形からとはいえ丁寧に作られたコーヒーは実際美味しかったし、五条も目を輝かせていた(砂糖を山ほど入れたそれは、果たしてここまで丁寧に挽いたところで味が分かるのか、と疑問に思ったが胸にしまった)。けれどその感動も最初の数回だけで、豆を挽き、ドリッパーをセットし、ゆっくりを湯を注ぐ諸々という一連の手間の前では呆気なく霞んでしまったのだった。
それから使われることはすっかり減ったが、埃が積もりそうになると伏黒が声をかけるのだ。五条が丁寧にいれてくれたコーヒーが飲みたいと。それはなんて事ない朝だったり、事務仕事をやらないといけない昼時だったり、夕食後の緩やかな時間だったり、今みたいに昨夜は随分と遅く(どちらかと言えば朝に近い)までベッドの上で過ごした後の昼に近い朝だったり。
「飲みたいんなら自分でやんなよ」
「やり方知らないんで」
「嘘つけ。てかスマホで調べられるでしょ」
五条の横に立って顔を覗くと、相変わらず下唇はつんと尖っていて言葉も余すことなく「面倒くさい」と訴えている。それでも手は止まることなく伏黒の為に動いているのだから、ついつい甘えてしまうというもの。
「誰がこんな我儘で甘えたに育てたかな〜」
そうぼやいた五条の背中の傷跡をちょん、と指先でつついた。
畳む
有識者曰く、ドリップコーヒー・インスタントコーヒー・缶コーヒー、これらは全てコーヒーと名が付くが別物だという。
とくに味に拘りは無いが、コーヒーを飲む方である伏黒には一応言わんとすることは分かる。だが基本的に飲みたい時にすぐ飲めればいいので、家で飲む時はスーパーで買ってきた手頃なインスタントコーヒーをマグカップに適当に入れて、適当に沸かした湯でもって適当に飲む。たまにカフェで飲むコーヒーは確かに美味いが、わざわざ家で再現してまで飲みたいほどの拘りはなかった。
けれど伏黒と五条が暮らすこの家にはコーヒーミルとドリッパーが置いてある。通販で買ったちょっと高い良いやつ。買ったのは勿論、五条だ。
裸足をぺたぺたと鳴らしてキッチンに立つ五条の元へと向かう。下着1枚の五条は背中に昨夜の名残を乗せながらケトルでお湯を沸かしていた。お湯が用意されるまでの間にマグカップをふたつ手に取り、特売だったからとスーパーで伏黒が買ってきたインスタントコーヒーに手を伸ばすのを見て声をかけた。
「おれ、今日はあれがいいです」
ぴたりと五条の手が止まって、ゆっくりと背後の伏黒を振り返る。ちょっと下唇を尖らせているのは面倒くさいの顔だ。
「めんどいんだけど」
やっぱり。
「でもあれがいいです。リッチなコーヒー」
「ん〜…」
渋々、と言った様子で五条の手が方向を変えてキッチンの隅っこに置かれているコーヒーミルと豆に向かう。
埃を被りかけているコーヒーミル達は五条が以前買ってきたものだ。ネットかテレビか、何かに触発された五条がこの一式を揃えたのだ。どれも決して安くはないものを買い、やっぱコーヒーと言ったらこれでしょ!なんて言って形から入った。しかし形からとはいえ丁寧に作られたコーヒーは実際美味しかったし、五条も目を輝かせていた(砂糖を山ほど入れたそれは、果たしてここまで丁寧に挽いたところで味が分かるのか、と疑問に思ったが胸にしまった)。けれどその感動も最初の数回だけで、豆を挽き、ドリッパーをセットし、ゆっくりを湯を注ぐ諸々という一連の手間の前では呆気なく霞んでしまったのだった。
それから使われることはすっかり減ったが、埃が積もりそうになると伏黒が声をかけるのだ。五条が丁寧にいれてくれたコーヒーが飲みたいと。それはなんて事ない朝だったり、事務仕事をやらないといけない昼時だったり、夕食後の緩やかな時間だったり、今みたいに昨夜は随分と遅く(どちらかと言えば朝に近い)までベッドの上で過ごした後の昼に近い朝だったり。
「飲みたいんなら自分でやんなよ」
「やり方知らないんで」
「嘘つけ。てかスマホで調べられるでしょ」
五条の横に立って顔を覗くと、相変わらず下唇はつんと尖っていて言葉も余すことなく「面倒くさい」と訴えている。それでも手は止まることなく伏黒の為に動いているのだから、ついつい甘えてしまうというもの。
「誰がこんな我儘で甘えたに育てたかな〜」
そうぼやいた五条の背中の傷跡をちょん、と指先でつついた。
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あんま可愛くない
2025.04.09 18:16:49 編集
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瞼をすり抜けた光が悟に起きろと声をかけてくる。それに抗うことなく、うーんと唸ってから悟はゆっくりと瞼を持ち上げた。窓から差し込む日差しは随分と眩しくて、今は何時だろうかと久しぶりに熟睡したお陰で軽い腕で枕元のスマートフォンを手に取った。
ロック画面を表示。今日は5月24日。時刻は朝の8:30、ではなくて昼に近い10:45。
その時刻を見て、悟は寝起きの気だるさなんて放り投げてがばりと起き上がった。
「もう昼!?」
隣で未だにすやすやと眠っている恵を気にすることなく叫んだ悟は「恵!起きて!」と慌てて恵の肩を揺すった。あまりにも気持ちよさそうな寝顔に悪いとは思うがそれどころではなかった。
今日は2人揃ってオフ。滅多にないことだからと今日は映画を観に行ってから遅めのお昼をのんびり食べて、それから適当に店を見て回ったりぶらぶらしたりしながら最後は夕食を食べて帰ろうと話していたのだ。映画以外は特に詳細を決めていない気ままなデート。の筈だったが、既に映画の時間まで1時間も無かった。今からダッシュで準備すれば間に合う?次の回ってあったっけ?ていうか今日を逃したら僕はもう観れない!そんなことを頭の中で高速で右往左往させながら恵の名前を呼んだ。
「ねぇ恵!映画!」
「…ん、なに、…るっさい…」
「もう昼!映画間に合わないよ!」
ようやっと目を覚ました恵は心底迷惑ですという顔をして悟を見た。快眠を邪魔されて眉間に皺を寄せているが、瞳はまだ寝ぼけてとろりとしている。可愛い、可愛いけれど悟は心を鬼にして恵を叩き起こそうとした。
「急いで支度しなきゃ!」
「…もう、よくないですか…」
むにゃむにゃとした声で言いながら悟の手を振り切り、恵は布団の中に潜ろうとした。なんならもう既に瞼が閉じられている。
「どうせまだチケット取ってないし…俺もごじょうさんも寝過ごしたんなら、そういう日なんですよ…」
「でも僕、今日しかこれ観れない!」
「配信でお願いします」
「そんなぁ」
そんな攻防を続けていたらもう11:00を少し過ぎていた。今から急いで飛び出しても映画には間に合わない。既に公開から日にちが経っていて、1日の上映回数も1回か2回。早朝か夜遅くにしか枠がない中で、今日は奇跡的に昼頃に枠が設けられていた。そんな偶然が重なった休みにすっかり2度寝をする気の恵の隣に再び横たわり、頭の中で悟は今日の予定を1つキャンセルした。映画には映画館で観るからこその楽しみがあるというのに、恵もそれは知っている筈なのに、配信で観ろだなんて。冷たすぎやしないか。
「ねぇ、恵は僕とのデート嫌なの?」
「いや、とかじゃなくて」
「映画行ってご飯食べてぶらぶらしよって言ってたのに」
「外出るのめんどくさくなったのはありますけど」
「こら」
「揃って寝坊したんだし、今日はふとんでごろごろ、が、いいです」
くあ、と欠伸を零した恵は悟の方を向いてきゅ、と唇を摘んだ。拗ねてとんがった悟の唇を摘んで、分かりやすく機嫌を取ろうとしている。そして、そのご機嫌取りに悟は弱いのだ。
むにむにと唇を揉んで、ついでに軽い触れるだけのキス。
「配信きたら、一緒にみましょう」
「…恵だけ先に観たりしない?」
「っ、ふふ、しませんて」
「何笑ってんの」
「すっげぇ拗ねてる」
誰のせいだと思ってんの!そう叫んだ頃には、実のところ悟の機嫌は恵のキスで半分くらい直っていた。観たかった映画が観れなくなったのも、この調子だとランチを食べに行くのも流れるだろうし、下手したら夕方くらいに近所のスーパーに行って夕飯の買い出しだ。予定が全部ぐたぐたになって、久しぶりのデートらしいデートはもうどこかに行ってしまった。
けれど愉快そうに口元を緩めた寝ぼけまなこの恵が、悟の唇にもう一度キスを落としてから腕の中で寝落ちるもんだから、そりゃあ多少の機嫌も直るに決まっているのだった。
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